鍛造とはForging
鍛造の「鍛」という字は金(目的物)+段(表音=叩く音)で構成され、まさしく金を打つことを表すもので、金属を叩いて加工し強くすると言う意味となり、それが転じ鍛錬などの言葉として使われています。
「金(鉄)を加熱して叩く(打つ)こと」=すなわち鍛造することにより加圧圧縮し金属内部の製鋼時に生じた空隙をつぶし組織を改良し機械的性質を改善することができ、同時に目的の形状に作ることが出来ます。
鍛造と鋳造の違い
金属を叩いて成形する鍛造と、金属を溶かして型に流し込む鋳造。どちらの方法でも同じ形の部品を作ることは可能です。ただ、完成形は同じ部品でも「鍛造」と「鋳造」による加工法の違いで、素材には大きく違いができます。
例えば米粒を結晶粒と考えたとき、鋳造品は「おにぎり」に、鍛造品は臼と杵で鍛えられた「おもち」に例えることが出来ます。
鍛造のメリット
メリット1鍛流線が維持され、靭性(材料の粘り強さ)の確保ができる
木材には木目という組織があり、方向により強度が違うことはよく知られています。金属にもこれと類似する「流れ」があり、「鍛流線」といいます。
鍛造の場合には、「鍛流線」を途切れることなく利用しますので、金属材料を生きた状態で使用できます。
メリット2機械的性質の改善ができる
メリット1で挙げたように、鍛流線の形成によって「靭性」(材料の粘り強さや強度)の確保ができます。
メリット3素材重量の削減・後工程の軽減・材料費の節約ができる
完成形状に近いかたちを作り出すことが可能となる為、切削などの後工程を減らすことができます。
これにより、材料費や加工時間の短縮などコストの削減ができます。
型打ち鍛造と自由鍛造の違い
型打ち鍛造大量生産向き
金型の中に鉄を入れ、圧縮加工する鍛造方法です。型打ち鍛造のメリットとしては、製品専用の金型を作成し鍛造を行うので、大量生産できかつ、仕上がり形状に対し、寸法のバラつきが少ない安定した品質の供給が可能です。
自由鍛造小ロット生産向き
型で成形する型打ち鍛造と違い、上下の金敷間で力を加えて自由に形を決められる鍛造方法です。自由鍛造のメリットは金型の作製が不要なので、初期費用が抑えられかつ、少量生産や大型部品、試作品など型打ち鍛造に適さない製品に適用可能です。